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病気になったら魚を食べよう

24時間くりかえしタイマー(1mコード付) WH3311BP

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中国の危ない食品 〜 民は信無くんば立たず


■1.病気になったら魚を食べよう■

ある海外メディアが、中国でのこんな市場風景を伝えている。

70歳過ぎの老婆が魚を売っている屋台の前で、短パンに上半身裸の男に話しかけている。「孫の咳が何日も止まらないの。熱もあるし、どうしたらいい?」

男は自信たっぷりに答えた。

おばあちゃん、前のときは桂花魚(メバルの一種)を孫に食べさせたんだったな。あれは淡水魚だからテラマイシンしか入っていない。すぐには効かないよ。あれだと何匹もたべさせなくちゃいけないな。それじゃあ、多宝魚(イシビラメ)はどうかな。こっちは淡水魚だ。ちょっと高いよ。だけど抗生物質はいっぱい入っている。ニトロフラン類に、クロロマイセチン、シプロフロキサチン。きっと効果てきめんだよ。さあ、目方をはかってあげよう。

番組では、これは作り話ではないと断っている。食物を通じて健康を守るのは中国の伝統的な「薬膳」の思想だが、これがついには抗生物質で汚染された魚を食べるという「近代化」を遂げたようだ。

■2.「土地の人間は、ここで養殖した魚は食べないよ」■

『中国の危ない食品』の著者・周勍氏は汚染された魚が養殖される現場を直接目撃している。

私は広東、浙江、江西、陝西など各省をまわって、じつに恐ろしい光景をこの目で見た。年末になると養殖業者である農民は養殖池の底を清掃する。彼らは泥をすくい出すと、池の底にシプロキサシン(発癌性のある抗菌剤)、または避妊薬をたっぷりと撒く。さらに養殖魚の飼料に大量のホルモン剤を混ぜるのである。養殖魚の伝染病の予防・治療と、養殖魚の成長を早めるためである。養殖業者たちは異口同音にこう言った。

「土地の人間は、ここで養殖した魚は食べないよ」

広州各地の養殖池では、農民が水を抜いたあとの池底に、溶けずに残っている避妊薬の錠剤が厚い層をなしているのを何度も目撃した。これら錠剤は当地の地方政府が住民の計画出産のために無料で配ったものだという。つまりコストゼロなのである。

北京の飲食業界では「海鮮類は高価なものほど食べてはいけない」が、公然の秘密としてささやかれている。なかでも「田うなぎとスッポンは食べるな」である。なにしろ、ふつうは2年かけて1キロに成長するスッポンが、促成剤を使うと2、3カ月でその大きさになり、それらが出荷されているのである。

北京のある有名な産婦人科医院の医師は、周勍氏にこう語ったという。

近年、北京では性早熟児が珍しくなくなりました。受診に来る患者の中には、先ほどの女の子のように7歳で生理があるとか、もっとひどいケースだと6歳の男の子に髭が生えたりしています。・・・とくに化学物質ホルモン(環境ホルモン)を含んだ水産物の影響が大きい。わずかであれホルモン添加によって、20年前には平均14歳だった初潮年齢が、現在では10歳前後に早まっているのです。

2年かけてようやく1キロに成長するスッポンが2,3カ月で促成されるほど化学物質を使われているのであれば、それを食べた子供にも影響が出るのは当然だろう。

■3.大規模食品中毒事件が続いている■

『中国の危ない食品』は、いくつもの大規模食中毒事件を列挙しているが、そのごく一部を紹介しよう。これらを見ると、上記の養殖魚などは、まだ「安全」な方である事が分かる。

・1996年、雲南省会沢市で工業用アルコールから造られたニセ酒により、36人が死亡、157人が後遺症により身体障害者となった。同様のニセ酒事件は、1998年、山西省朔州などで連続的に発生し、2百数十人が中毒、7人が死亡した。

・1998年、江西省で有機錫用として使用されていたドラム缶に入っていたラードを食べたことから中毒事件が発生。2百人近くが中毒になり、3人が死亡。

・1999年、広東省肇慶市でパラフィン油が混入した食用油により、7百人が中毒。

・2001年、江西省永修県で野生キノコを食べて5千余人が中毒、少なくとも10人が死亡。2002年、湖南省でも100人が毒キノコを食用して中毒、5人死亡。

・2001年、吉林市で、豆乳を飲んだ学生6千人が中毒。豆乳に関しては、2002年長春市で3千余人、2003年遼寧省でも3千人と、繰り返し被害が出ている。

業者が有害と知りつつ故意に危険な食品を提供したのか、あるいは危険性を知らなかったのかは、明らかでないが、いずれにせよ、消費者の健康や生命よりも金儲けを優先する社会土壌がありそうだ。

■4.軍隊でも食中毒■

こうした危険な食品を、行政当局はなぜ取り締まらないのか?その原因を豚肉汚染の事例で見てみよう。

2002年7月2日、人民解放軍の兵士80名が食堂で豚のレバー料理を食べたところ、20名が食中毒症状を起こした。最初に手などの筋肉が震え、次にめまい、頭痛、動悸の症状が現れた。翌日には顔面の筋肉が痛み、足が無力症状となり、嘔吐感を催す者もいた。

食堂に残っていた豚のレバーを分析すると、塩酸クレンブテロールが検出された。軍隊の食堂であるので、食材の調達から料理方法まで規定通り厳格に運用されていたが、その軍隊でもこのような食中毒事件が発生したのである。

民間では同様の中毒事件が頻発しており、上海だけで1998年以来、18件発生し、被害者は17百数十名、うち死者1名を出している。

■5.肉赤身化剤■

塩酸クレンブテロールは、肉赤身化剤とも呼ばれている。中国では赤身肉が脂身肉よりも好まれ、数倍の値段で売られている。しかし、赤身肉タイプの豚を養殖するには、良種の子豚の購入費と養殖期間のコストを考えると、コスト割れすると言われている。

ところが、出荷の10日ほど前にふつうの豚に肉赤身化剤を入れた飼料を食べさせると、赤身肉タイプに「速変」するのである。赤身化剤のコストは豚1頭あたり8元だが、利益は22元も増える。

農業を主管する中央の高官が、ある省の養豚農家を訪ねたときのこと。ふつうの豚と、毛並みに光沢があって臀部が太った豚の2種類がいた。高官が2種類の豚を飼っているわけを訪ねると、こういう答えが返ってきた。

見た目にいいのは肉赤身化剤の飼料を食わせたやつです。肉の色つやがいいんで、もっぱらマチの人に売るため。ふうつの豚は自家用ですよ。

高官は驚いて「肉赤身化剤が人体に害があるってことを知っているのか」と聞き返すと、

知ってますよ。でもマチの人間には公費の医療があるから、大丈夫でしょう。

■6.肉赤身化剤の危険性は分かっていた■

肉赤身化剤の利用は、中国人の「独創」ではない。1980年代にアメリカの某企業で、若い研究員が誤って塩酸クレンブテロールを豚用の飼料に入れてしまった事から、その効果が発見された。牛の飼料に入れても、同様の事が起きた。これを発明した企業は、一時期、大いに儲かったが、やがて思いがけない事件が続発した。

最初に事件が起きたのは1990年3月、スペインでのことである。43軒の家庭の135人の男女が、牛レバースープを食べてほどなく、集団食中毒にかかった。全員の心臓の動悸が速くなり、筋肉が震え、頭痛、吐き気を催した。その後、3月から7月までに、スペイン中部で125件もの中毒事件が起きた。さらに被害はイタリア、フランスにも広がった。

スペインでの最初の中毒事件から2年後、欧米の科学者たちが肉赤身化剤の危険性に対応し始めた頃、中国の学者たちが「科学技術の成果」として、肉赤身化剤を中国沿岸地区の飼料加工工場や養豚業者に大々的に広めた。その効果を紹介しただけで、危険性や欧米での使用禁止の調査状況も示さなかった。

中国で最初に肉赤身化剤の危険性が報道されたのは、1998年香港においてだった。中国産の豚肉を食べた香港人17名の中毒事件が起こり、香港の自由なメディアが競って報道した。

これが引き金となって、大陸中国でも肉赤身化剤による中毒がようやく報道されるようになった。

■7.「われわれもメシを食わねばならない」■

1997年3月、農業部(農業を統括する中央官庁)は畜産業での肉赤身化剤の使用禁止令を出した。以後、同様の通達が繰り返し出されたが、肉赤身化剤による食中毒事件は一向に後を絶たない。

2002年には、福建省南平市裁判所が薬品販売商数人に、肉赤身化剤の販売罪で懲役5カ月、罰金3千元の判決を下した。肉赤身化剤に関する最初の有罪判決である。その後、湖南省、杭州など各地の地方裁判所で、同様の判決が下された。

それでも肉赤身化剤の使用は、各地で続けられた。衛生部(公衆衛生を統括する中央官庁)は2003年前半の重大な食中毒は116件、患者数3643人との報告を受けており、いずれも養殖の際の肉赤身化剤などの薬品過剰添加が原因となっている。

なぜ取り締まりが徹底しないのか。周勍氏は河南省のある地方の取り締まり担当官から、こんな打ち明け話を聞いた。

われわれみたいに年じゅう農民と付き合っている役人は年じゅう貧乏だ。だからなんとかしなければね。ここでは、市場で赤身肉の売れ行きがいいと、業者が大勢産地に押しかけてきて、肉赤身化剤を使った豚を指定買いしたり、肉赤身化剤持参で、養豚家と直接交渉したり、肉赤身化剤の豚を高く買いあげている。われわれもメシを食わねばならない。国の規制以来、ここではまだ一度も肉赤身化剤事件が見つかっていない・・・。これであんた、わかっただろうね。

中国庶民の間では「郷は県をだまし、県は市をだまし、市は省をだまし、省は中央をだます」という民謡が流行っているという。中央政府がいくら通達を出しても、地方の実態は変わらないのである。

■8.「死をもって謝罪する」国との違い■

周勍氏は、こうした状況を、日本や韓国と比べて慨嘆している。日本では2004年3月8月、京都の養鶏業者・浅田肇・知佐子夫妻が、鳥インフルエンザ発生を隠蔽して、感染を広めてしまったことに責任を感じて、首つり自殺をした。

この同じ日に、中国広西チワン族自治区南寧において、南寧税関と広西検査検疫局が、アメリカから輸入した鶏の足爪冷凍品113トンを、鳥インフルエンザに感染していたとして廃棄処分とする決定を下していた。

荷主である南寧市新興科学農業貿易有限公司は、山の中に深さ10メートルの穴を掘り、大型トラック6台分の足爪冷凍品を埋めて、その上に生石灰を厚く撒いて消毒した。このことはメディアで報道されて、称賛された。

しかし、その夜、この会社は人を雇って、秘かに足爪冷凍品を掘り出し、同社の冷凍庫に戻した。広西検査検疫局はこの情報を得て、冷凍庫の中の足爪冷凍品を封鎖した。

メディアや住人が騒ぎ出すと、同社は従業員2名が勝手にやったとシラを切ったが、彼らが会社から命ぜられたと自白しても、なおあの手この手で言い逃れをした。

周勍氏は、韓国で粗悪な餃子を作って、ソウルの橋から身投げした社長の話を含めて、こう述べている。

この日本と韓国の二つのケースは、いずれもわれわれの隣国国民であり、われわれが平素その国名を聞くと理由もなく見下げ、国名の前に「小」をつけたがる国(小日本、小韓国のように)だが、彼らの「死をもって謝罪する」道徳観と、「しらばっくれて恥知らずに生きる」だましのロジックの間には天と地ほどの違いがある。

■9.「民信なくんば立たず」■

悪質な食品業者は消費者を騙し、悪質業者を取り締まるべき地方役人は、中央政府を騙す。中央政府も、こうした事実の報道を統制することによって、国民を騙している。現に周勍氏の本も書店での販売は差し止めになっている。

国中が騙し合いをしている原因を中国人の民族的特質に求めるのは間違いだろう。香港やシンガポールでは、こんな事はないからだ。

周勍氏は言う。

ウソで国を治めるのは独裁専制国家の統治者の大きな特質である。スターリン、毛沢東からサダム・フセインまで、例外はない。

孔子は「民信なくんば立たず」と言った。国民が政治を信頼できなければ国家は成り立たない、という意味である。中国人民が共産党独裁政治から解放され、安心した食生活を送れる日が早く来ることを祈る。


(出典:伊勢雅臣)
  1. 2008/01/22(火) 06:00:07|
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