日銀総裁空白の異常事態 世界に取り残されるニッポン
サブプライムローン破綻問題が、当初ほとんどのエコノミストたちが想像し得なかったほど非常に深刻な事態に陥っている。
アメリカはサブプライムローン破綻対策として、ブッシュ大統領は、減税など様々な手立てを打ち出し、約16兆円投入するということを宣言している。米連邦準備制度理事会(FRB)は18日、主要政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%引き下げ、年2.25%とすることを決定した。それにも関わらずNYダウもドルも下げ続けている。
サブプライム問題で危機に瀕する米経済
ついに、アメリカの証券大手ベアー・スターンズ社が倒産の危機に瀕し、JPモルガンが買収するという事件も起きた。また、すでに業界内では名前が明らかになっているのだが、ベアー・スターンズ社よりもはるかに規模の大きい2つの金融機関が破綻の危機に瀕していると言われている。
サブプライムローン破綻という、バーチャルの金融危機が、実物経済、現実の経済を非常に揺るがせ、今や少なからぬエコノミストが、世界の基軸通貨としてのアメリカドルが崩壊する可能性すらあると言っている。
ダウ安、ドル安の影響で、日本円も100円を切り、90円台になる可能性が少なからずある。東証の日経平均株価も、ついに1万2300円台で推移している。このままでは1万円を割る可能性も少なくないと言われている。
なぜ日本経済がダメージを受けるのか
日本のサブプライムローンによる損失については、欧米諸国に比べると桁違いに少ない。全部ひっくるめても約1兆円と言われている。それに対してアメリカ、ヨーロッパでは、サブプライムローンに関わる様々な金融商品もすべて合わせると、その損失はすでに100兆円、200兆円に及ぶと言われている。
本来ならば、日本はアメリカの株価に対してそれほど騒がれないはずである。しかし現実には、アメリカの株価が去年の7月以来8パーセント下落しているのに対し、日本はすでに27パーセント下落している。
なぜ、サブプライムローンの被害が少ない日本の株価がこれほど大きく下落しているのか。なぜ、日本の経済がこれほどダメージを受けているのか。これは、サブプライムローン破綻の問題とは直接は関係のない日本固有の問題だと、僕は考えている。
小泉内閣が発足したとき、日本の株価が1万1000円台だった。今とほぼ同じだ。小泉首相(当時)が構造改革を叫びたて、郵政の民営化を実現したときから株価がぐんと上がり出した。1万4000円になり、1万6000円になった。
これは、構造改革によって、日本が変わるということを期待して、外国人の株主がどんどん日本の株を買いだしたのである。日本の株価は一時、1万8000円にまで達した。日本は長いデフレ不況から景気が確実に回復し始めると思われた。
海外から見た「JAPAiN(ジャペイン)」
ところが、2007年7月の参議院選挙で自民党が大敗し、まるでそれが契機のように株価が下がり始めた。イギリス・ロンドンのエコノミスト誌が「JAPAiN(ジャペイン)」という特集を組んでいる。「困惑する国」、「苦悩する国」という意味だ。この特集によれば、民主党が大勝したのは、ばらまき政策のためであるという。
農家一戸あたりに金を提供するとし、その額約1兆円。子育て手当てとして2兆6000億円。そして、年金の基礎年金の部分を全て税金でまかなう、しかも消費税は上げない、と言った。こうした金の総額約13兆5000億円。これをエコノミストは、「非常識なばらまきである」と言っている。民主党を抵抗勢力と決め付けている。
要するに、「小泉元首相の構造改革を逆行する時代が始まった」と外国人株主は判断し、そこで一斉に日本株から逃げ出した。つまり日本売りが始まった。
僕は、日本の経済事態は劣化も悪化もしていないと考えている。外国人株主が日本から逃げていくのは、むしろ日本に対する厳しい激励ではないかとすら思っている。「方向が違うぞ。とるべき方向を誤っている」という痛烈な指摘だと捉えている。
民主党が大勝し、安倍元首相が退陣し、そして、福田首相が登場した。福田首相はダボスで、「日本は自由主義の国であり、世界の資本がどんどん入ってきているし、日本からも出て行く」と、開国宣言をした。日本は自由主義経済であり、構造改革を続けるという宣言をしたのだ。
ところが、実態はどうか。構造改革とは全く逆の動きをしている。
鎖国体制を強める福田政権
福田首相がダボスで宣言しているまさにそのときに、実は、国土交通省は、羽田空港運営会社にオーストラリアの資本が約2割入ったと知るやいなや、羽田・成田を中心とする日本の主要空港に外資が参入する枠を3分の1以下にするという法案を提出した。つまり、福田首相の言葉とは逆に、鎖国体制を強めとしているのだ。
自民党の中にも、解放・開国とは逆行する議員たちの存在が目立ってきた。日本の株安は、こうした動きに対する外国人株主たちの異議申し立てだと思う。
今の日本の国会を見ていると、外国人たちは全く理解できないのではないかと思う。国会は相変わらず日銀総裁を誰にするかということで、もたつきにもたついている。参議院は民主党を中心とした野党が多数で、民主党の了解を得られない限り、自民党の提出する案は否決される。それが分かっていながら、自民党は具体的に民主党と話し合いをしようとしていない。
武藤敏郎総裁を提案したときにも、自民党の幹事長も政調会長も官房長官も全く動いていない。唯一民主党と交渉しているのは自民党の大島理森国対委員長で、それに応じているのが、民主党の山岡賢次国対委員長だ。
山岡さんが国対委員長になったのは、山岡さんは小沢一郎民主党代表の信頼が厚く、小沢さんと連絡がとりやすく、すぐに結論が出せるからという背景があった。しかし、大連立騒動以後、小沢さんは決断する力を失った。民主党の中で決断する場所は小沢さんから離れて、しかもどこにもない。
反対だけでは国会は回らない
民主党は、「ノー」と言うことでやっと一致できるという、悪い意味の野党になってしまった。道路特定財源や暫定税率の問題にしても、「ノー」という以外に何の方策も持ち合わせていない。自民党もその民主党に対して何の戦略的対応もしていない。
こんな姿を見せつけられたら、外国人たちが、「日本は一体何をしているのか」と思うのは当然だ。日本の株価が今下がっているのは、日本の経済が劣化・悪化しているからではなく、外国から見て、日本の政治が何をしているのか理解不能な状態に陥っているからだと思う。
日銀次期総裁に関して、もしも小泉さんが首相ならば、民主党に下駄を預けたと思う。下駄を預けたら民主党はきっと疲労困憊した。本当は民主党だって武藤さん以外提案する人がいないはずだからだ。
民主党が元財務事務次官の武藤敏郎・日銀副総裁の昇格案に反対すると、自民党は黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務官)を総裁にしようとした。しかし、黒田さんが日銀総裁になると、アジア開発銀行総裁のポストが中国に取られると、外務省が嫌がって拒否した。
次に政府は、渡辺博史国際金融情報センター顧問(元財務省)を総裁にしようとした。ところが今度は財務省が、ランクが違う、年次が違う、若すぎるということで拒否した。
結局、政府が提出した元大蔵事務次官の田波耕治・国際協力銀行総裁を総裁に充てる案も、衆院では同意されたものの、野党が多数を占める参院で不同意となった。これによって19日の福井俊彦総裁の任期切れに伴い、戦後初めて日銀総裁が空席となった。日銀法の規定に基づき、福井総裁は19日、政府が上席の副総裁に任命した白川方明・京大院教授を20日以降の総裁代行に指名するという異常事態に陥っている。
持ち駒がなくなった福田政権
今や、政府側には持ち駒がない状態だ。小泉さんが首相ならば、むしろ民主党に下駄を預けることで解決をはかって、自民党ペースを取り戻そうとしたと思う。福田さんにはそういう意思、気力が全く感じられない。
参議院で予算関連法案をあげなければならない。年度末までにあげないと暫定税率が期限切れでガソリンが1リットルあたり25円下がってしまう。
さらに、オフショアの問題もある。1986年12月に、円の国際化のために東京オフショア市場が創設され、ここで活躍する諸外国企業は免税措置がとられた。この免税措置が3月いっぱいで切れ、有税になる。
参議院の委員会での実質審議は、もう完全に時間切れだ。小泉さんならば、むしろ民主党の対案を飲む。その対案の説明をさせて、そこで逆に自民党が異議申し立てをする、という方法をとったと思う。
かつて「つなぎ法案」が衆参議長の斡旋で取り下げられ、民主党はその条件として「年度末までに結論を出す」と約束した。ところが、「サンデープロジェクト」に出演した鳩山由紀夫幹事長は、「衆議院で自民党が乱暴な採決を行ったために、この約束は反故になったと我々は捉えている。だから年度末までに結論を出すとは考えていない」という見解を述べた。そうすると、4月になだれ込む。つまり、暫定税率やオフショアの問題など、すべてが期限切れになってしまう。それをどう考えているのか。
洞爺湖サミットは環境サミットにはならない
今の国会は“小学校の運動会”にしか見えない。自民党も民主党も戦略らしきものがまるでない。そして、虚しいエゴイズムのぶつかり合いをしている。こんなことが続けば続くほど、外国からの日本に対する信頼は揺らぐ。揺らぎに揺らいで、すぐに見限りをつけられるだろう。
こういったことに対する恐怖心、危機感が、日本の政治家たちにない。呆れたものだと思う。
洞爺湖サミットは環境サミットになると言われているが、環境などはテーマにならない。何といってもサブプライムローンの破綻問題がテーマになる。世界を襲おうとしている大恐慌に対する準備を全力ですべき時なのだ。一番の問題は、アメリカに一刻も早く公的資金導入の決断をさせるべきだ。この公的資金は100兆を上回るものになるだろう。
今、公的資金を投入することは、つまりブッシュ政権の失政を認めることになり、そうすると秋の大統領選挙で共和党のマケイン候補が非常に不利な立場になる。だから今はまだ決断できない、などと言っているが、もうそんなことを言っている段階ではない。大統領選挙まで待てば世界の実体経済が音を立てて弾けてしまう。
日本はEUなどと組んで、アメリカに一刻も早く公的資金投入するように圧力かけるべきなのだ。しかし、このような世界の重大な問題と、今、日本の国会で論じられていることにあまりにも格差がある。日本の国会ではあまりにも些細なことを論じ合っており、世界の大問題に日本は何も関与していない。情けない限りである。
福田首相はサミットまでもたない可能性も
民主党は「4月解散、5月選挙」と言っている。4月解散、5月選挙になれば、自民党は負けるだろう。このままでいけばその可能性はある。福田さんはサミットを仕切れないまま終わってしまう可能性もあるということだ。
今の福田政権では国民も不安でどうしようもない。だから株価もどんどん下がって、円も100円を割る。先日の「サンデープロジェクト」では、円が90円を割るという可能性も指摘された。しかし、政府は為替介入すらしていない。ユーロなどに比べると、まだ円安の局面だと見ているのだと思うが、このまま放置すれば大変なことになる。
この事態に政府は一刻も早く対応し、強いメッセージを出さないと、本当に世界の中で完全に日本は取り残されることになるだろう。
田原総一朗の政財界「ここだけの話」田原 総一朗(たはら・そういちろう)
- 2008/03/24(月) 06:00:53|
- 世界と日本
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日本銀行を作ってほんの一世紀しかたっていないし、そもそも日本銀行などいらない。日本に対して、日本銀行は悪事しかしてこなかった。彼らはヒトの生命よりもモノをだいじにしてきたのだ。現在の不況の最大の犯人は日本銀行である。日本政府によって何の罪もないのに強制的に監禁虐待されてきた新井泉さんこそ総裁にふさわしい。公務員による残酷な檻に閉じ込められて人生も健康もすべて強制破壊させられた新井泉さんを招いて総裁にするべきである。日本政府と日本銀行員は共謀して新井泉さんを拷問監獄に閉じ込めて、彼らの好きな時にいつでも殺せるのだぞと新井泉さんに対して長いあいだ恐喝や脅迫を続けている。新井泉さんは一生毎日拷問や虐待を受けて公務員や銀行員のクイモノにされるために生まれてきたのではなく、極悪人のクイモノにされる気は全くない。彼らがいつでも殺害できるような最悪の拷問部屋で新井泉さんを強制破壊しても、神である新井泉さんはますます神の御業を執り行って、邪悪な日本人どもに復讐する。てめえだけ虐待する側について長いあいだ栄耀栄華を楽しんでいる日本政府及び日本銀行側は、新井泉さんを総裁に就任させるべきだ。
- 2008/04/04(金) 12:43:15 |
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